埋もれてたり、ダメだと言われたり、
はたまた土俵違いだったり。
実はそーゆうもんが、
時と場合によってキスしちゃいたくなるよーな偉い働きをしてくれる。
ここんとこ、中野の某女史に呼び出されては、
湾岸のスタジオで彼女のアルバム作りを手伝ってる。
デモは貰ってたんで歌と曲の雰囲気は掴んでたんだけど、
もうちょっと手を入れたい。っていう希望が出てて。
でも。
その「もうちょっと」が何なのかは彼女自身にもワカラナイ。
ただ、「懐かしさがほしい」って気持ちだけがあるらしい。
PC上でイコライジングしたり。
エフェクトを足したり引いたり。
歌録り直したり、マイキング変えてみたり、マイク変えたり。
あーだこーだやってても気持ちにジャストなもんにならないまま。
もう、こーなりゃProTools使うのすら止めてさ、
もろアナログで録る?
って訊いたのが運のツキ。
まんまとそーなる羽目に(笑)
某海外有名メーカーのでっけぇミキシングコンソールのあるスタジオに
自前のいろんなアナログミキサー持ちこんでる図ってのは
なんか背徳的ですらありましたわ。
ヤマハの12ch (YAMAHA MX12/4)
マッキー初代の1202 (MACKIE MS 1202)
マッキー2代目の1202 (MACKIE 1202 VLZ)
ヤマハの昔の16ch (YAMAHA MC1604)
TASCAMの8ch(TASCAM M-208)
ビクターの8ch (victor SS-M208)
最先端からまったく遠すぎて、鼻で笑われちゃうようなラインナップ。
マイクは彼女の愛着ある自前があるっていうんで、
こっちはその他機材一式って感じのを用意。
「懐かしい感じ」ってとこから、
ヤマハの16chもしくはマッキー初代あたりだろう。
って踏んで、仮音録ってみたら、
どーやらまだ、なんかどっか違うようで。
意外にも彼女の琴線を震わせたのはvictor SS-M208。
録ってみて始めてわかったんだけど
確かに合う。
彼女の紡ぐ旋律とか、歌とか、歌詞とか
結局、彼女の全部に、合う。
公民館とか学校とかの簡易的なPA用のミキサーなのに
余計な色づけも、変な空気感もなく。
息遣いや余韻が良い具合に入る。
単純な回路。
素直な出音。
そして、回路自体が生み出す微妙で独特な何かが
彼女の世界がもつニュアンスにはまった感じ。
良いミキサーとか良いメーカーとか。
そういうもんは妄信みたいなもんかもね。
歌や曲ってのは、スペック表やレッテルとは違うとこにある。
そんなふうに思ったのです。